サバゲーマーを中心とした全世界のエアガンユーザーに支持されているトイガン、それが電動ガンです。
充電したバッテリーを動力源にしてモーターを駆動しBB弾を発射する電動ガンは発売開始から既に30年近い歴史を積み重ね、
その機能や品質、耐久性も年を経るごとに進化しています。
また、当初は原産国の日本だけで作られていた電動ガンも、現在では海外メーカー製も登場し、日本製とは違った魅力を兼ね備えた製品が数多く作られています。
そこで今回は、電動ガンとは?という概要からはじまり、ビギナー向けに種類や選び方のポイント、海外製と日本製との違いや特徴などをご案内します。
はじめにー電動ガンとは?電動ガンの概要
電動ガン(でんどうガン)とは、エアソフトガンのうち、電気で動く機構を持つものをいう。エアコッキングガンのコッキング動作を、モーター駆動によって行うもの。
引用元:ウィキペディア(Wikipedia)
電動ガンが世に登場したのは1991年の日本でのことです。
創業者メーカーは東京マルイ。
それまで圧縮エアーかフロンガス、また手動コッキングがBB弾を発射するパワー源であったエアソフトガンの世界に、
バッテリーでシリンダー内のピストンのエアーを圧縮してBB弾を発射するというアイデアを始めて実用化した製品でした。
さらに1993年には電動ガン第一号モデルのFAMASにホップアップシステムを搭載しました。
これにより低威力でもBB弾の飛距離を伸ばすことに成功し、それまで初速の高さだけでBB弾の射程距離を稼いでいた外部ソースシステムのガスガンをサバゲーの世界から駆逐したのです。
外部ソースエアガンがサバゲーから消えた理由
電動ガンが登場する以前のサバゲーでは、外部ソース式エアガンが主流でした。
しかし、電動ガンの登場によりサバゲーの主役が外部ソース式エアガンから電動ガンに移っていきます。
その理由は主に3つの問題があります。
①取り回しの問題、②威力の問題、③リアリティの問題、
という3つの問題によってユーザーが電動ガンに移っていきました。
①銃口初速の問題
電動ガンが登場する以前のサバゲーでは、ブースターシステムを取り入れた外部ソース式が主流でした。
これはフロンガス缶をいくつも連結したものか、巨大なエアータンクにコンプレッサーやポンプで圧縮空気を詰めて撃つシステムです。
このシステムではレギュレターにより圧縮空気圧やガス圧を調整するのですが、このレギュレターの設定次第で、銃口初速をいくらでも上げられたのです。
そのため、当時のサバゲーでは、耳たぶを貫通した!とか前歯が折れた!といった怖いエピソードが都市伝説のように語られたものです。
いわゆるサバゲーの暗黒時代と呼ばれた頃の話です。
こういった背景に登場した電動ガンは、外部ソース式よりもはるかに低い初速で、ホップシステムにより射程距離を伸ばせる電動ガンに主軸が移っていったのです。
②操作性の問題
外部ソース式エアガンがサバゲーから消えた理由の2つ目は、「操作性の問題」によるものです。
外部ソース式では圧縮空気やガスが入ったタンクと銃をエアホースで連結しています。
このエアホースが銃の取り回し時に邪魔に感じるのです。また、背中に背負うエアタンクも状況によっては大変邪魔に感じます。
こういった外部ソース式の煩わしさが、電動ガンでは解消されたのが外部ソース式が廃れた理由でもあります。
③リアリティの問題
外部ソース式が廃れた3つ目の理由は、リアリティの問題です。特にエアガンからエアホースが出ている様子は、リアリティという面から見ると、どうしても萎えますよね。
電動ガンの種類
1991年に登場した電動ガンですが、発売当時の電動ガンは、ホップシステムも付いておらず、コッキングを手動からモーターに切り替えたバージョンといったものでした。
しかし、年を経るごとにモデル数やバリエーションが増え、機能的にもいろいろと進化しています。
それらの電動ガンの種類をご説明します。
次世代電動ガン
次世代電動ガンとは現在の東京マルイの主力製品です。
主な特徴は「シュート&リコイル」と言われる疑似リコイル機構で、撃つ度にピストンに連動したウェイトにより肩に振動が伝わる機能が内蔵されていることです。
また、機種によっては全弾発射後に作動が停止する「オートストップ機能」が搭載されています。
しかし、次世代電動ガンの最大の特徴は適正なノズル長による命中精度の高さです。
また、次世代電動ガンはメタルフレームによる剛性アップも命中精度の向上に繋がっています。難点は、価格が高いこと。
スタンダード電動ガン
1991年の電動ガン第一号FAMASから2006年の89式小銃まで東京マルイの主力製品だった電動ガン。
特徴は最後の89式小銃を除いたすべてのモデルのフレームがプラ製であること。
そのため長尺モデルになるほど(M16A2、HK G3、HK PSG-1など)フレームとアウターバレル結合部の弱さ(首の弱さ)などの剛性不足を感じる。
また次世代電動ガンに比べるとノズル長不足、剛性不足による着弾点の散り具合いが気になる。
ただ、次世代電動ガンに比べて価格が低い分だけビギナー向けで、プラフレームのため軽量に感じる。
ハイサイクルカスタム
秒間14~16発のスタンダード電動ガンの連射速度を秒間25発まで引き上げた東京マルイによるファクトリーメイドカスタム。
東京マルイはこのカスタムのためにハイサイクル専用のギア、専用のハイサイクルモーター、メタル軸受けなどのハイサイクル専用パーツの投入により、
8.4Vバッテリーでもショップカスタム並みの連射力を実現しました。
また、東京マルイの企業力によるものでしょうが、それまでのショップ製ハイサイクルカスタムよりも販売価格が低く設定されており、
使用するバッテリー価格も含めて、コストパフォーマンスの高いハイサイクルカスタムに仕上がっています。
ちなみにエアガンショップによる一般的なハイサイクルカスタムは、
電動ガンの本体価格とは別に、カスタム工賃だけで3万円前後のカスタム料がかかります。
電動ショットガン
2016年の登場した新たなジャンルの電動ガン。
最大の特徴は3発同時発射の火力の高さを秒間10発で連射できること。
またスイッチ回路の保護のため東京マルイの電動ガンとしては、SIG550以来絶えていたFET搭載モデルになっています。
難点はあまりの火力の高さのため、フィールドによっては使用禁止になっていること、本体重量が重たいこと、本体価格が次世代電動ガン並みであることです。
コンパクト電動ガン
2006年に登場したコンパクトタイプの電動ガンです。
初号機はHK MP7A1、その後のモデル展開はMAC10、VZ61スコーピオンとそのバリエーションが2種です。
初速75m/s前後、サイクル数は秒間10発ぐらい、価格帯は25,000~30,000円弱となっており、価格帯的には電動ガンハイサイクルカスタムとクロスしています。
特徴は軽量コンパクトで非力な女性には向いたモデルです。
それ以外のユーザーなら価格帯や基本スペックから見ても、スタンダード電動ガンのミドルクラスや、電動ガンハイサイクルカスタムを選んだ方がコストパフォーマンスは高いでしょう。
電動ハンドガン
2004年に登場したハンドガンサイズの電動ガン。
恐ろしく小型化されたマイクロメカボックスをグリップとチャンバー後方に配置してあります。
ここまで精密な製品のコピーは難しいのか?海外のエアガンメーカーでこの電動ハンドガンをコピーしているメーカーはほとんど見受けません
(うろ覚えですがUMAREXブランドでUSP Tacticalが過去に販売されていたような・・)。
電動ハンドガンの特徴は、ガスブローバックの様に気温の影響による初速変化がないこと。
さらにモデルを問わずに全ての電動ハンドガンにフルオート機能と搭載されていることです。
初速は65m/s前後でサイクル数は秒間15発前後で、販売価格帯は12,000~17,000円とリーズナブルでコスパの高い製品になっています。
難点はリアリティの低さです。
筆者も冬サバゲー用にグロック18C電動ハンドガンを購入したのですが、BB弾をばら撒く道具としか感じられなかったため、当時、学生だった長男に武器供与した記憶があります。
トレーニングウェポン
トレーニングウェポンとは日本のトイガンメーカー、SYSTEMA社のハイエンド電動ガンです。
開発目的は軍や警察機関のトレーニング用であるため、サイズや操作性、剛性面でもできるだけ実銃を扱っているような感覚を持てるように目指しています。
ターゲットは個人というよりも公用機関での採用であるため、価格も最低1丁が20万円からというハイエンドモデル価格になっています。
操作性や質感はリアルですが、サバゲーへの投入はオーバースペックとも言えます。
どうしても購入したい人はともかく、一般ユーザーには次世代電動ガンで十分でしょう。
海外製電動ガンと特徴と傾向
1991年に東京マルイが開発した電動ガンも、今では日本だけでなく世界中の国のメーカーが発売しています。
当初は日本の初速規制に適合したモデルがなく、ショップが個別にノズルの穴を開けたりスプリングを適当にカットした製品を日本のユーザーに売るケースが多く、
製品の品質が安定していなくて、「海外製電動ガン=安かろう割るかろ」という評価だったのです。
しかし、現在では海外製電動ガンも日本の初速規制に対応した日本Verが造られ、製造技術も向上してきて品質も安定しております。
初めは東京マルイの電動ガンのコピー製品が多かったのですが、今では独自の技術と製品開発で日本製電動ガンを性能で凌駕しているモデルもあります。
この海外製電動ガンの特徴をご説明いたします。
海外製電動ガンが選ばれる理由
海外製電動ガンが選ばれる理由は主に次のようなものです。
- 日本製よりも安いから
- 選べるモデルの種類が多いから
- 使われている素材がいいから
- 実銃メーカーが造っているブランドがあるから
- 日本製よりも先進性があるから
これらの特徴を海外製電動ガンの特徴としてご説明します。
海外製電動ガンを選ぶ理由1,日本製より安いから
海外製電動ガンが選ばれる第一の理由が、日本製よりも安いからです。
勿論、海外製電動ガンでも日本製電動ガンよりも高付加価値の値段が高い「プレミアム・モデル」があります。
しかし、その一方で普及帯とも言うべき「スポーツライン」という例価格モデルも数多くあるのです。
東京マルイのスタンダード電動ガンと同じようなモデルで機能・スペックもほぼ同じなのに、東京マルイの製品よりも1万円以上安い価格で売られているのです。
こういったモデルはサバゲーの入門用として初心者が買ったり、試しに電動ガンが欲しいという人に人気があるのです。
海外製電動ガンを選ぶ理由2,選べるモデルが多いから
ユーザーが海外製電動ガンを選ぶ理由の2番目が、「選べるモデルが多い」という理由があります。
これは、日本のメーカー(主に東京マルイ)が売れるモデルしか製品化しないためです。
特に近年になってその傾向は強く、東京マルイの出す製品と言えば、M4A1カービンやAK47&74のバリエーションモデル、あるいはH&K MP5シリーズばかりです。
以前はUZIやM14、ステアーAUGやSIG550シリーズなども出していたのですが、ユーザーからのアンケート結果を信じて作ったトンプソンが売れなかったために、ニッチェなモデルを造る心が折れたようです。
それに比べて海外製エアガンメーカーはある程度認知を取っているモデルなら、古いモデルから最新モデルまで、万遍無く出してくれます。
その一例が台湾のエアガンメーカーG&G ARMMENTが製造している64式小銃です。
1964年から1989年まで自衛隊の制式採用小銃だったこの銃を、本来なら日本のメーカーが造って然るべきだと思うのですが、東京マルイが造らないことが、日本製電動ガンのモデルの少なさを物語っています。
海外製電動ガンを選ぶ理由3,使っている素材がリアルだから
海外製電動ガンを選ぶ理由の3番目が、リアルウッドやスチール素材などのリアル素材を使って、製品の質感にリアルさを感じるという理由があります。
電動ガンに高級感を求める人は海外製電動ガンを選ぶ人が多いようです。
海外製電動ガンを選ぶ理由4,実銃メーカーが造っているブランドがあるから
近年では実銃メーカーが設立したエアガンメーカーが海外製電動ガンにはあります。
「クリスベクター」のクライタック、SIG SAUERのエアソフト部門「シグ・ザウエル エアソフト」、ドイツの名門銃器メーカーであるワルサー社を傘下に収める「ウマレックス」などです。
これらの実銃メーカーのエアソフト部門の製品は、実銃を造るメーカーだけあって、造形や刻印のリアルさでは日本製と一味違います。
海外製電動ガンを選ぶ理由5,先進性のある製品が多いから
台湾のエアガンメーカーG&G ARMMENTでは、今から8年ほど前からMOSFETや電子トリガーを積極的に搭載しています。
これはG&G ARMMENTだけでなく、台湾製や香港製のエアガンメーカー全般に言えることです。
それに対して東京マルイが電子トリガーを導入し始めたのはつい最近のことです。
この先進的なシステムを積極的に取り入れる姿勢は、日本メーカーよりも海外製メーカーのほうに一日の長があるようです。
電動ガンの種類と選び方のまとめ
今回は電動ガンの選び方について書いてみました。
昔と比べて電動ガンの種類も増え、選ぶ選択肢も多くなりました。
その分だけ自分にとってどの電動ガンがベストなのかを選ぶのに悩む人も多いでしょう。
この電動ガンの種類と選び方の記事が、電動ガン選びに悩む人にとってお役に立てることを祈ります。
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