東京マルイの「L96AWS」は、東京マルイのエアーコッキングライフルの第二弾としてVSR-10シリーズから6年後に発売されました。
東京マルイのボルトアクションライフルの評価は既にVSR-10シリーズの、特にサバゲー用スナイパーライフルのGスペックで確立されており、
サバゲー用スナイパーライフルとしてはGスペックの一人勝ちという状況だったのです。
そんなVSR-10シリーズですが、弱点が無かったわけではありません。
そのVSR-10シリーズの弱点を改修して、より完成度の高いボルトアクションライフルを目指して作られたのが「東京マルイ L96AWS」です。
今回はその「東京マルイ L96AWS」を所有して、
サバゲーの実戦で使った者の目線で「東京マルイ L96AWS」の基礎知識をスナイパーを目指すサバゲー初心者向けにご案内したいと思います。
「東京マルイ L96AWS」の基本構造:VSR-10シリーズとの違い
東京マルイの「L96AWS」の基本構造(製品としての成り立ち)を理解するには前作のVSR-10シリーズと比較するのが一番分かりやすいでしょう。
VSR-10シリーズは東京マルイが初めて手掛けたエアコッキング式ボルトアクションライフルです。
そのコンセプトは
「誰でも使いやすい高性能なエアコッキングライフルをリーズナブルな価格で!」
というのが確かなところでしょう。
そのためリアルさよりも実用性が最優先の命中精度の高いライフルに仕上がり、登場と同時に多くのサバゲースナイパーの支持を集めました。
しかし、そのためモデルとなる実銃が存在しそうで存在しない「架空銃」としてデザインされ、
リーズナブルの価格にするためにいささかチープな印象を残す仕上がりになりました。
このVSR-10シリーズの弱点を改良するため、「L96AWS」ではイギリスの「A.I.(アキュラシーインターナショナル)社」のL96シリーズをモチーフにしてよりリアルさを増し、
VSR-10シリーズよりも高級感を感じさせる仕上がりになりました。
その他の東京マルイの「L96AWS」の特徴やVSR-10シリーズとの違いをこれからご案内します。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識1、チャンバーの構造
東京マルイの「L96AWS」の基礎知識でまず知っておいていただきたいのが「エアーロスの無い気密を上げたチャンバー構造」についてです。
「L96AWS」のチャンバーは前後に分かれた金属製の2ピース構造になっており、そのパーツがホップパッキンを包み込むような構造でネジでガッチリと連結されるためにエア漏れがほぼ起きません。
それに対して「VSR-10シリーズ」のチャンバーは左右張り合わせのモナカ構造であるため、シリンダーから吐出されたエアー漏れが当初から指摘されていました。
このVSR-10シリーズのエア漏れ対策としてはサードパーティーから「ピタリング」といったパーツも販売されていますが、東京マルイからの対策はついぞなされなかったのです。
このVSR-10シリーズのエア漏れに対する東京マルイから答えが、「L96AWS」のガッチリとしたチャンバー構造なのでしょう。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識2、リアルなマガジンの位置
東京マルイの「L96AWS」の基礎知識の2番目が、VSR-10シリーズよりもリアルな外観の再現に拘ったことです。
これは前作のVSR-10シリーズが、一部のユーザーから「安っぽい」「オモチャっぽい」といった酷評をされたからでしょう。
そこで東京マルイが「L96AWS」で目指したのが、実銃と同じようにトリガーガード前部にマガジンを配置するデザインだったのです。
VSR-10シリーズはオリジナルデザインの「架空銃」だったとはいえ、レミントンM700やステアーSSG69をモチーフにしており、
これらのライフルは内蔵式マガジンであるためマガジンの配置場所にそれほど気を遣う必要はなかったのです。
しかし「L96AWS」ではモデルになるライフルがボックスマガジンであるため、今まで通りのエアガンのデザインに沿えば、
どうしてもマガジンの配置はトリガーガードより前方のチャンバー直下の場所になってしまいます。
この実銃とエアガンのマガジン位置のギャップを解消するために東京マルイが取り入れたのが「ローディングエスカレーター機構」であり、これが「L96AWS」の目玉でもあります。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識3、ローディングエスカレーター方式
東京マルイが「L96AWS」がマガジンの配置場所を実銃と同じところにするために取り入れた「ローディングエスカレーター機構」ですが、
これの仕組みについては各ブログやエアガンサイトで画像付きでせつめいされているので、ここで詳しく説明するのは省略します。
ただ、サバゲーの実戦で「L96AWS」をスナイパーライフルとして運用したものとしての「ローディングエスカレーター機構」の感想は、
リアルなマガジン位置に拘ったために幾つかのメリットを犠牲にしたというものです。
同じL96をモチーフにしたエアコッキングライフルにマルゼンのtype96というモデルがあります。
このtype96ではこれまでのエアコッキングライフルと同様にチャンバー直下にボックスマガジンを配置していましたが、
マガジンがストック内に納まるサイズであるため、それほど違和感なく使えました。
東京マルイが実銃のL96の再現に拘るあまりに、
煩雑化したシリンダーボルトの取り出し方やローディングエスカレーター機構のルート上でBB弾に傷の入る恐れ、
そして途中からBB弾の装填が以上に固くなるマガジンなどのデメリットを生み出しました。
そこでここからは他のブログではあまり語られない、「L96AWS」を実際に運用して感じたデメリットな部分をご説明します。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識4、BB弾の装填が硬いマガジン
東京マルイの「L96AWS」で一番使いにくいと感じるのが装弾数40発のボックス型マガジンです。
このマガジンはフルに装弾しようとしても35発目以上からは固くてBB弾の装填ができません。
これはマガジンのBB弾挿入口付近に無意味な丸いスペースがあり、BB弾を給弾する時にこの〇スペースにBB弾が引っ掛かって抵抗を生むからです。
「L96AWS」のマニュアルでは、マガジンへのBB弾補給にBB弾ローダーの仕様を推奨していますが、
BB弾の補給に抵抗が出始める35発目以降にもローダーで補給しようとすると、間違いなくローダーの方が壊れます。
体験上、私もL96AWSのマガジンへ40発のBB弾を補給しようとして、東京マルイのBB弾ローダーを2つほどオシャカにした経験があります。
東京マルイの「L96AWS」のマガジンの装弾数は40発になっていますが、実質的な装弾数は35発までと思うほうがいいでしょう。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識5、手間のかかるシリンダーボルトの取り出し
東京マルイの「L96AWS」に取り入れられた「ローディングインジケーター機構」の最大のデメリットが、シリンダーボルトを取り出す際に、VSR-10シリーズの倍の手間がかかることです。
この「L96AWS」を箱出しノーマルのままで使えるウチはこのデメリットはは実感しにくいのですが、
例えばホップパッキンの交換のためにチャンバーを取り出したり、
インナーバレル周りにバレルスペーサーを組み込む場合や、
シリンダー内のパーツを入れ替える時などに、この「ローディングインジケーター機構」の弊害を実感するでしょう。
何故なら、VSR-10シリーズではワンタッチで行えたアウターバレルのフレームからの分離も、
「L96AWS」ではまず「ローディングインジケーター機構」を分解してからでないとアウターバレルを回して取り外せないからです。
更にシリンダーボルトの取り出しではシリンダーノズルに付いているノズルプレートを外してからやっとシリンダーボルトが取り出せるという仕様なのです。
実際にこの作業を幾度も繰り返していると、段々と「L96AWS」のメンテが面倒になってきます。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識6、銃口初速と有効射程距離
東京マルイの「L96AWS」の初速は1STロットでは90~95m/sと、スナイパーライフルとしても十分な威力を誇るものでした。
しかし、現在のロットでは0.2gBB弾使用という条件でホップ最弱時:85m/s、ホップ最強時:80m/sという初速に落ち着いています。
これは何も「L96AWS」だけの傾向ではなく、東京マルイのエアガンでは1STロットの初速が最も高く、ロットを経るたびに初速が落ちついていくというのはユーザーの間では認識済みの事実です。
そのため現在の「L96AWS」の有効射程距離は、慣れていない人の場合では、動かない的なら45m、移動する的なら35m付近と思っていてください。
ここでいう「有効射程距離」というのは低伸弾道での射程距離を指しています。
「L96AWS」のホップ調整は回転式のダイヤルを回す仕様なのですが、実際にホップがかかり始めるのは、最後の3/4回転ぐらいからというホップの掛りにくいものになっています。
そのため0.28gほどの重量BB弾では伸びのある低伸弾道よりも仰角を付けた山なり弾道での狙撃(砲撃?)といった狙い方になるでしょう。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識7、サバゲーで使った時の感想
東京マルイから「L96AWS」が発売された時、VSR-10シリーズの後継機種ということもあり、そのスペックに大きな期待を抱いて購入したものです。
そしてイザ、サバゲーの実戦に投入した時の第一印象は、「長い、重たい」の一言です。
L96AWS、長い、重い( ;∀;)
VSR-10シリーズのGスペックの本体重量が約2kgなのに対して「L96AWS」ではな~んにも付けなくても本体だけで3,460gという重さ、
それにスコープを載せると4kg近い重さになります。
全長 | 1,120 mm |
---|---|
銃身長 | 500 mm |
重量 | 3,460 g(空マガジン含む) |
弾丸 | 6mm BB(0.2〜0.28g) |
動力源 | 無し(手動) |
装弾数 | 40 発 |
型名 | L96 AWS |
種類 | スナイパーライフル |
このため真っ先にしたことは一緒に買った「タクティカルバイポッド」を外して少しでも軽くしたことです。
さらに1,120mmというサプレッサー付きのGスペックよりも長い全長のため取り回しにも苦労し、構えるのが精一杯で狙うどころではありませんでした。
気密漏れが解消した新型チャンバーと1STロットの初速の高さに期待して買ったのですが、自分の腕力の無さではこの「L96AWS」のスペックの高さを活かしきれなかったのです。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識8、イッチがL96AWSに施したカスタマイズ
「いくらスペックが高くても自分で使いこなせないなら意味がないジャン!」
それが「L96AWS」を実戦投入した時の自分の感想です。
「それじゃ~自分の使いやすいようにカスタマイズしようじゃねぇ~か!」
ということで最初に取り組んだのが「L96AWS」のショートバレル化です。
某パーツメーカーより「L96AWS」用のショートアウターバレルがインナーバレル付きで発売されていたので早速購入して組み込みます。
その結果、ショートバレル化により取り回しは良くなったものの初速は大幅にダウン!
「これじゃスナイパーライフルの意味ないジャン!」
ということで、高レートスプリングに換装して初速アップ!そしたら見事に初速オーバー!
「じゃあ、インナーバレルをカットだ!」
ということで最終的にはインナーバレル長が6㎝、
ノズルまでのルート確保のためにアルミパイプでバレルスリーブで補強、
合せてホップパッキンも長押しホップ仕様に換装!
気がつけばホップを掛ければ逆に初速が上げる「流速仕様になっちゃいました~という落ちです。
ここまで弄るとけっこう飛んで、けっこう当たる銃になったので、サバゲーでは多いの楽しめました。
ただ、サプレッサーを外すとハンパない発射音で自分の居場所がバレバレでしたけどね。
ただね、「L96AWS」をこんな仕様にすると周りのサバゲー仲間からはドン引きされますね。
「東京マルイ L96AWS」の基礎知識のまとめ
東京マルイの「L96AWS」は
このタイプのスタイルのスナイパーライフルが大好物だ!
という人になら間違いなくおすすめの一品です。
ただ、サバゲーでの実用的なスナイパーライフルをお探しなら「L96AWS」よりも「VSR10-Gスペック」を間違いなくおすすめします。
「架空銃」でも「オモチャっぽく」ても、Gスペックの安さと軽さとパーツの豊富さは正義なのです。
現にGスペックのカスタムパーツは未だに出続けていますが、「L96AWS」のカスタムパーツは初期の頃に出たものばかりでほとんど増えていません。
東京マルイの「L96AWS」は、ターゲットが動かずに距離が一定で、どんな弾道でも的にさえ当たればいいという条件なら、その命中精度の高さを存分に楽しめます。
しかし、常に状況変化に対応しなければならないという条件のサバゲーのスナイパーには、軽くて取り回しやすい「VSR10-Gスペック」のほうが使いやすく感じるでしょう。
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